fxトレード 考え方・マインド

君は苦しさから逃げるためにエントリーしている

無駄エントリーが減らない理由

FXをしていると、ときどき自分でも理解できないエントリーをしてしまう。

根拠が弱いことは分かっている。
待つべき場面だとも分かっている。
エントリーした直後から、「これは余計だったかもしれない」と感じることさえある。

それでも、なぜかマウスをクリックしてしまう。

そして負けたあとに、自分を責める。

どうしてルールを守れないんだ。
どうして同じ失敗を繰り返すんだ。
なんて俺はバカなんだ。

俺なんか死んでしまえ!

何度もそう思ってきた。

けれど最近、無駄エントリーについて考えているうちに、ひとつの仮説にたどり着いた。

無駄エントリーは、利益を得るための行動ではなく、

という仮説だ。


人には、「しないほうが良い」と分かっていても止められない行動がある

タバコを吸う。
お酒を飲む。
ギャンブルをする。
お菓子を食べる。
深夜までスマートフォンを見続ける。

こうした行動は、長期的には自分にとって良くないと分かっていても、なかなかやめられないことがある。

なぜなら、その行動によって一時的に、

  • 不安が薄れる
  • 退屈が消える
  • 興奮を感じられる
  • 寂しさをごまかせる
  • 嫌なことを考えずに済む

という効果が得られるからだ。

自分を傷つけようとしているわけではない。

むしろ、その瞬間の苦しさから自分を救おうとしている。

ただし、その救い方が間違っており、結果的に自分をさらに苦しめてしまう。

無駄エントリーにも、これと似た構造があるのではないかと思う。


無駄エントリーの直前、僕たちは何を感じているのか

無駄エントリーをするとき、純粋に「利益が出そうだから」入っているとは限らない。

実際には、次のような感情が隠れていることがある。

  • チャンスを逃すのが怖い
  • 何もせずに待つのが苦しい
  • 損失を早く取り返したい
  • 今日はまだ利益を出せていない
  • チャートを見ているのに参加できない
  • 他のトレーダーだけが稼いでいるように感じる
  • 今すぐ結果を出さなければならない
  • 何もしていない自分には価値がないように感じる

こうした不快感が強くなると、エントリーすることで一瞬だけ楽になれる。

ポジションを持った瞬間、

よし、動いた。
これで取り返せるかもしれない。
今度こそ利益になるかもしれない。

という希望や興奮が生まれる。

つまり、利益を得るためというより、

不安や焦りを消すためにポジションを持っている

という可能性がある。


エントリーした瞬間に、苦しさが少し消える

無駄エントリーの厄介なところは、エントリーした直後に一時的な安心感が生まれることだ。

待っている間は苦しかった。

けれど、マウスをクリックした瞬間に「何かをした」という感覚が得られる。

結果はまだ出ていないのに、少しだけ気持ちが軽くなる。

この瞬間の安心感を脳が覚えると、次に同じ不安を感じたときにも、再びエントリーしたくなる。

すると、次のような循環が生まれる。

不安になる。
焦る。
エントリーする。
一瞬だけ安心する。
負ける。
後悔する。
さらに不安になる。
またエントリーする。

これが続けば、無駄エントリーは単なる分析ミスではなくなる。

感情を落ち着かせるための習慣になる。


「苦しさを止めたい」

無駄エントリーを繰り返すと、自分を破壊しているように感じることがある。

それで僕は、タバコや過度の飲酒などと同じような、自傷的な行動なのではないかと考えた。

ただ、より正確に言うなら、

のだと思う。

その瞬間のトレーダーは利益を得たいわけではない。

取り返したい。
安心したい。
自分にはできると思いたい。
家族を守れる自分でいたい。
何も進んでいないという恐怖から逃れたい。

だからエントリーする。

けれど、そのエントリーがルールから外れていれば、結果としてさらに自分を苦しめることになる。


手法を増やしても、無駄エントリーが消えない理由

無駄エントリーをなくそうとすると、多くの場合は手法の改善に向かう。

  • インジケーターを増やす
  • エントリー条件を細かくする
  • 新しい分析方法を学ぶ
  • チェックリストを作る
  • 勝率の高い手法を探す

もちろん、これらも大切だ。

ただ、無駄エントリーの原因が感情の処理にあるなら、手法だけを改善しても十分ではない。

どれだけ良いルールを作っても、苦しさが限界まで高まれば、人はルールを破ってしまう。

必要なのは、チャートを分析することだけではなく、

なのだと思う。


エントリー前に、自分へ問いかける

僕は今後、エントリーしたくなったときに、次の問いを自分へ投げかけたい。

そして、感情に名前をつける。

焦り。
退屈。
恐怖。
悔しさ。
置いていかれる感覚。
損失を取り返したい気持ち。
稼いでいないことへの罪悪感。

感情を言葉にできれば、エントリー以外の行動を選べる可能性が生まれる。

たとえば、

  • 焦っているなら、5分間チャートから離れる
  • 損失を取り返したいなら、その日の取引を終了する
  • 退屈なら、そもそもチャートを閉じる
  • 稼がなければという恐怖があるなら、「この1回で人生を変えなくていい」と確認する
  • ルール外だと分かっているなら、エントリー理由を文章で書く

エントリーを我慢するだけでは苦しい。

だからこそ、エントリーが果たしていた役割を、別の行動に置き換える必要がある。


この1回で、人生を救おうとしない

僕自身、トレードには単なる利益以上のものを背負わせていたのかもしれない。

もっと稼がなければならない。
お金に余裕を作って安心したい。
早く結果を出さなければならない。
このままでは時間ばかりが過ぎてしまう。

そう思えば思うほど、一回のエントリーが重くなる。

本来は条件が整うまで待つべきなのに、

そのとき、トレードは投資や確率ではなく、人生を救うための緊急行動、つまりギャンブルになってしまう。

けれど、一回のトレードで人生を救うことはできない。

むしろ、人生を救おうとして焦って入った一回が、資金と心をさらに削ることになるほうが多い。

だから、エントリー前にこう宣言する。

今日トレードしなくてもいい。
チャンスをひとつ逃してもいい。
利益が出ない日があってもいい。

生き残って、資金を残して、次の機会を待つ。

それも立派なトレードだ。


無駄エントリーを責めるのではなく、理解する

これまで僕は、無駄エントリーをするたびに自分を責めてきた。

意志が弱い。
我慢ができない。
トレーダーに向いていない。
僕なんて死んだほうが良い最低のクズ人間だ。

けれど、責めるだけでは同じことを繰り返す。

必要なのは、

を理解することだと思う。

無駄エントリーは、僕たちの心が発しているサインなのかもしれない。

疲れている。
焦っている。
怖がっている。
結果を急いでいる。
自分の価値を証明しようとしている。

そのサインに気づかないままトレードを続ければ、チャートの値動きよりも、自分の感情に振り回されることになる。


最後に

無駄エントリーをするトレーダーは、愚かなわけでも、意志が弱いわけでもない。

その人なりに、苦しさから逃れようとしているのだと思う。

ただし、エントリーでは根本的な苦しさは解決しない。

一時的に楽になっても、ルール外の取引で損失が増えれば、また苦しさが戻ってくる。

だから僕は、無駄エントリーをなくすために、手法だけではなく自分の感情を観察したい。

利益が欲しいのか。
それとも、安心が欲しいのか。

チャンスだから入るのか。
それとも、待つ苦しさから逃げたいのか。

その違いに気づけたとき、初めて「エントリーしない」という選択ができるのかもしれない。

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